荒井晴彦監督による俳優のための実践的ワークショップ


(2016/6/1からの荒井晴彦監督による俳優のための実践的ワークショップは開催終了しました)

「映画」は娯楽であり緊急時には不要なものだという考えがあります。それはそれで一理ある考えですが、僕はそう思っていません。むしろ「人類にとって「映画」は不可欠なもの」だと思っています。もちろん原始時代に「映画」はありませんでしたし、また必要ともされてませんでした。けれども、社会文化の複雑化、近代化にともない、必然的に「世界、社会、人間」を知るための「人類の必要」として「映画」は生まれたんじゃないかと思います。そして、その「人類の必要」としての「映画」において、最も重要な「構成要素」こそが「俳優/女優」の存在です。

なにより、人間は「人間」を知りたがっています。「人間」が、どのように怖いもので、愚かしいもので、憎むべきものなのか、愛おしくて、優しくて、そして尊いものなのか。人間は「人間」を知りたがっている。観たがっている。そして、その見たい「人間」を、オノレの「人間」をさらして見せる存在こそが「俳優/女優」であり、だからこそ「人間」をより良く体現する「俳優/女優」の存在は、ほんとうに尊く貴重な存在であり、その発見と育成は「人類的に大きな仕事だ」と僕は思うのです。

ということが、2005年5月から10年間、俳優のためのワークショップを「個人的に」主催してきた僕の実感です。10年やってきてなお、ますます「俳優/女優」の発見と育成の重要性を感じています。一方で、このような大事業を「個人的に」続けることに無理を感じていたのも事実です。10年のあいだ、僕は「現場」こそが教育にもっともふさわしい場所と考え、第一線の監督がたに「現場としてのワークショップ」の開催をお願いし続けてきたのですが、もともと演劇を中心として活動してきた僕には、たくさんの無理がありました。そもそもそんなに沢山の映画監督と知り合いではありませんし。そんな時に、周囲の方々に相談し協力を求めました。何人かの方に、映画における「俳優/女優」の発見と育成の重要性に共感していただき、「俳優/女優」の発見と育成の場を整えることに力を貸していただけることになりました。

ということで、10年ひと区切りとして、二周目に入る現在、心機一転、このワークショップの名称も変えます。もともと4人の監督でやるワークショップだったので、「4人の映画監督による俳優のための実践的ワークショップ」とそのまんまの名称で活動してきたのですが、今後は、「俳優/女優」を発見し育成することによって日本映画界を活性化するというヴィジョンをもって、新たにワークショップを運営していくという気持ちから、「アクターズ・ヴィジョン」と名称を変えます。

そして、そのアクターズ・ヴィジョンの記念すべき第一回目を6月1日から4日の4日間行います。講師をしていただくのは荒井晴彦監督です。谷崎潤一郎賞を受賞した高井有一の小説を原作に、戦時下を生きる男女の許されない恋を、二階堂ふみと長谷川博己の主演で描いた映画「この国の空」の監督です。

荒井晴彦監督は、廣木隆一監督の『ヴァイブレータ』で、第77回キネマ旬報脚本賞、第59回毎日映画コンクール脚本賞、第25回ヨコハマ映画祭脚本賞、第6回ドーヴィル国際映画賞脚本賞を受賞、阪本順司監督の『大鹿村騒動記』で、第85回キネマ旬報脚本賞、第35回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞、青山真治監督の『共喰い』で、第87回キネマ旬報脚本賞、第68回毎日映画コンクール脚本賞を受賞、ご自身で監督の 『この国の空』ではシナリオで、第67回読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞と、シナリオライターとして名高い監督です。しかしながら、今回は映画監督として、ご自身の次回作を飾るにふさわしい「俳優/女優」を発見することを目的としたワークショップを行っていただきます。発表前ですが、次回作の具体的な腹案もあるようです。荒井監督に「キミで撮りたい」と言わせる自信のある方、ぜひともご参加ください。

ちなみに、「仁義なき戦い」シリーズや「博奕打ち 総長賭博」などの名作のシナリオを手掛けた脚本家の笠原和夫氏にインタビューを行い、その創作の過程と秘密を明らかにした名著「昭和の劇」は、荒井晴彦監督の手になるものなのですが、このような名著を作ることができたということは、とりもなおさず、荒井晴彦監督ご自身の経験と知識が、伝説の脚本家笠原和夫さんと対等に渡り合い、本音を聞き出せるほど「半端ないものである」ということの顕れで、それはもうほとんど「荒井晴彦は日本映画史だ」と言っても良いということだと思います。で、その荒井さんに演出されるということは、それは取りも直さず、「日本映画史に演出をされることだ」と言っても過言ではないわけで、ぜひとも俳優/女優のみんなにはそんな体験をしてもらいたいと思っているわけです。こぞって、ご参加ください。そして、これからの、こんな感じのマツガエ・ワークショップ、「アクターズ・ヴィジョン」を、今後ともよろしくお願いいたします。

アクターズ・ヴィジョン代表 松枝佳紀

講師プロフィール

荒井 晴彦(Arai Haruhiko)

荒井晴彦監督
脚本家、映画監督。季刊誌『映画芸術』編集・発行人。若松プロの助監督を経て、1977 年脚本家としてデビュー。キネマ旬報脚本賞を『Wの悲劇』(澤井信一郎監督・1984)、『リボルバー』(藤田敏八監督・1988)、『ヴァイブレータ』(廣木隆一監督・2003)、『大鹿村騒動記』(阪本順治監督・2011)、『共喰い』(青山真治監督・2013)で受賞。他、『赫い髪の女』(神代辰巳監督・1979)、『遠雷』(根岸吉太郎監督、1981)など多数の脚本を手がける。1997 年『身も心も』では脚本・監督を務めた。最新作は『この国の空』(脚本・監督・2015)

ワークショップ概要

【日 程】2016年6月1日(水)、2日(木)、3日(金)、4日(土)の4日間連続

【クラス】昼クラス13:00-16:00、 夜クラス18:00-21:00

お問合せ

アクターズ・ヴィジョン
E-mail actorsvisionjapan@gmail.com