4-7.歌舞伎も「リアリズム演技」である?


リエナ:「リアリズム演技」だからといって、日常を演じてなきゃいけないというわけではないと思うんです。決まった「型(かた)」の中でも「真実」は要求される。

マツガエ:海外の映画やドラマを見て違和感なく共感できるように「真実」って人間にとってのみんなの「真実」だから、民族や国境を超えるんですよね。普遍的な言語なんです。

ボビー:そうなんです。「リアリズム演技」は普遍的なんですよ。だから色んな監督や演出家の色にすぐに染まれるんですよね。逆に、特定の演技のクセがついてしまった人たちが「リアリズム演技」をすることは凄く難しいと思います。

マツガエ:歌舞伎役者って映画や現代のストレートプレイやらせてもうまいじゃないですか、それって…

ボビー:「型(かた)」って、「リアリズム演技」と一見反するように見えるんですけど、「型」って「型」だけだとダメなんだと思うんです。「型(かた)」という器の中にはやっぱり人間の「真実」をちゃんと入れているんだと思うんですよね。だから歌舞伎を見ても僕らは感動できる。そうやって「型」に「真実」という「リアリズム」を入れることのできる俳優だから、歌舞伎役者が映画をやってもやはり、素晴らしいんだと思います。

つづく

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1.なぜアクターズ・ヴィジョンで俳優教育が必要になったのか

2.アップス・アカデミーとBNAWの違い

3.じっくり基礎教育に時間をかける

4.本当に俳優たちが学ぶべきもの、それを学べる環境に

5.マイズナー・テクニックやメソッドに対する誤解

6.普遍的な技能としての「リアリズム演技」

7.歌舞伎も「リアリズム演技」である?
 
8.アクターズ・スタジオで許された「嘘」

9.世界市場への接続

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米倉リエナ(Lyena Yonekura)
俳優教育者、アップス・アカデミー演技講師
芸能事務所Camino Real(カミノレアル)代表取締役。
ニューヨーク大学演劇学科で演劇を学び、日本人女性初のニューヨークアクターズ・スタジオ正式メンバーとなる。
帰国後は演出家としても活動しつつ、アップスアカデミーの講師をしている。
また、現在はCamino Real(カミノレアル)を設立しシャーロット・ケイト・フォックスやMIYAVIなど日本国内外の俳優のマネジメントに携わる。
2児の母。

ボビー中西(Bobby Nakanishi)
俳優、俳優教育者、演出家、BNAW主宰
コント赤信号のもとで俳優を始めるが1990年渡米
フィル・ガシーのもとでマイズナー・テクニックを学び
後に、サンフォード・マイズナー本人のもとで本格的にマイズナー・テクニックを学ぶ
アクターズ・スタジオのオーディションに合格し正式なメンバーとなる。
2011年に日本に拠点を移し、俳優教育の場BNAWを主宰している。

松枝佳紀(Matsugae Yoshinori)
脚本家、演出家、アクターズ・ヴィジョン代表
京都大学経済学部を卒業後、1995年、日本銀行に入行。
映画や演劇に対する夢覚めやらず2000年に退職
現在、シナリオライター、企画者、制作者として映画を作りながら
俳優のためのワークショップ「アクターズ・ヴィジョン」を運営している。