4-2.アップス・アカデミーとBNAWの違い


マツガエ:そういう意味で、僕的にはアップスでもボビーさんところでも良かったのですが、もともと「サンフォード・マイズナー・オン・アクティング」を読んで、マイズナーテクニックに興味があったということもあって、僕はボビーさんところを選んだ。でも、これから自分の演技力を磨きたいという俳優が居たときに、アップスBNAW(ブナウ)とどちらかに行こうと迷った時に、どう判断すればいいんですかね?アップスとBNAWの違いを教えてもらえませんか?

ボビー: 僕はマイズナー・テクニック(サンフォード・マイズナーが創始した演技訓練のためのテクニック。簡単に言うと、思考を通さずに衝動で行動する技術である)を中心として学びましたが、実はアップス代表の奈良橋陽子さんも、サンフォード・マイズナーが長年講師を務めたネイバーフット・プレイハウスに通っておられるんです。僕の大先輩になるんです。陽子さんはマイズナーテクニックと、アクターズ・スタジオで教えるメソッド(リー・ストラスバーグらアメリカの演劇陣によって体系化された演技法。役柄の内面に注目し、感情を追体験することによって、より自然でリアルな表現を行うこと方法である)の両方学ばれていて。リエナもそうですよね。だから、アップス・アカデミーはメソッドとマイズナーテクニックを中心に、アレキサンダー・テクニックや滑舌、声に関する事など「演技に関するすべてのこと」を総合的に学べる演劇学校になっているんです。

リエナ:もともとは(奈良橋)陽子さんが短期間のワークショップをやっていたんですけど、やっぱり単発だけじゃなくて、長く訓練しないと俳優の成長は難しいということで、演技だけを集中的に持続して勉強できる場としてアップスアカデミーを設立しました。2年間を、半年ごとに区切って週3回授業を行っています。ここはアップスの良いところだと思うんですけれど、未経験で真っさらな状態であっても、演技が好きで、演技に対してして情熱を持っていれば入学のチャンスはあります。誰が役者であるかは本人が決めることで、本人次第だと思っています。

つづく

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1.なぜアクターズ・ヴィジョンで俳優教育が必要になったのか

2.アップス・アカデミーとBNAWの違い

3.じっくり基礎教育に時間をかける

4.本当に俳優たちが学ぶべきもの、それを学べる環境に

5.マイズナー・テクニックやメソッドに対する誤解

6.普遍的な技能としての「リアリズム演技」

7.歌舞伎も「リアリズム演技」である?
 
8.アクターズ・スタジオで許された「嘘」

9.世界市場への接続

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米倉リエナ(Lyena Yonekura)
俳優教育者、アップス・アカデミー演技講師
芸能事務所Camino Real(カミノレアル)代表取締役。
ニューヨーク大学演劇学科で演劇を学び、日本人女性初のニューヨークアクターズ・スタジオ正式メンバーとなる。
帰国後は演出家としても活動しつつ、アップスアカデミーの講師をしている。
また、現在はCamino Real(カミノレアル)を設立しシャーロット・ケイト・フォックスやMIYAVIなど日本国内外の俳優のマネジメントに携わる。
2児の母。

ボビー中西(Bobby Nakanishi)
俳優、俳優教育者、演出家、BNAW主宰
コント赤信号のもとで俳優を始めるが1990年渡米
フィル・ガシーのもとでマイズナー・テクニックを学び
後に、サンフォード・マイズナー本人のもとで本格的にマイズナー・テクニックを学ぶ
アクターズ・スタジオのオーディションに合格し正式なメンバーとなる。
2011年に日本に拠点を移し、俳優教育の場BNAWを主宰している。

松枝佳紀(Matsugae Yoshinori)
脚本家、演出家、アクターズ・ヴィジョン代表
京都大学経済学部を卒業後、1995年、日本銀行に入行。
映画や演劇に対する夢覚めやらず2000年に退職
現在、シナリオライター、企画者、制作者として映画を作りながら
俳優のためのワークショップ「アクターズ・ヴィジョン」を運営している。